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外国人派遣の雇用で知っておくべき注意点と手続きの詳細解説

日本の労働市場では、少子高齢化による深刻な人手不足が続いています。多くの企業が海外の外国人材の活用を検討する中で、「外国人を自社で直接雇用するのは手続きが難しい」「在留資格の確認や管理が不安」といった声をよく耳にします。

そんな企業にとって注目されているのが、外国人派遣という選択肢です。人材派遣会社を通じて外国人材を受け入れることで、複雑な手続きの多くを派遣会社に依頼しながら、必要な人材を確保できるメリットがあります。

しかし、外国人派遣には一般的な日本人派遣とは異なる法的な制約や注意点が存在します。在留資格の種類によって従事できる仕事が限られていたり、特別な手続きが必要になったりするケースもあるのです。この記事では、外国人派遣の基本的な仕組みから具体的な注意点まで、人事担当者が知っておきたい重要なポイントを、わかりやすく詳しく解説していきます

外国人派遣雇用の基本知識

派遣された外国人との握手

外国人派遣を適切に活用するためには、まず基本的な制度の概要を理解することが重要です。ここでは、一般的な直接雇用との違いや法的な位置づけについて詳しく見ていきましょう。

派遣と直接雇用の違い

外国人派遣と直接雇用の最も大きな違いは、雇用契約を結ぶ相手です。直接雇用では企業が外国人労働者と直接雇用契約を締結しますが、派遣の場合は派遣会社が雇用主となり、企業は派遣先として労働者を受け入れる形になります

この違いにより、企業の責任範囲も変わってきます。直接雇用の場合、在留資格の確認から労働条件の設定、各種手続きまですべて自社で担当しなければなりません。一方、派遣では在留資格の確認や基本的な労務管理は派遣会社が行うため、企業の負担を大幅に軽減できるのです。

ただし、派遣先企業にも一定の責任があります。労働安全衛生法に基づく安全配慮義務や、適切な労働環境の提供などは派遣先企業の義務となるため、これらの点は十分注意が必要です。

参考:厚生労働省 外国人の雇用

外国人派遣の法的位置づけ

外国人派遣は、労働者派遣法と出入国管理及び難民認定法(入管法)の両方の規制を受けます。労働者派遣法では、派遣可能な業務や期間の制限が定められており、これは外国人であっても日本人と同様に適用されます。なお、国際貢献を目的とする技能実習制度とは、制度の目的や要件が異なる別の制度であり、混同しないよう注意が必要です。

一方、入管法では外国人の就労に関する制限が定められています。外国人が日本で働くためには適切な在留資格が必要で、その在留資格で認められた範囲内でのみ就労が可能です。派遣の場合も、この原則は変わりません。

つまり、外国人派遣を行う際は、労働者派遣法上の制限と入管法上の制限の両方をクリアする必要があるというわけです。これが外国人派遣を複雑にしている要因でもありますが、適切な知識があれば十分対応可能な範囲といえるでしょう。

主な対象となる在留資格

外国人派遣で対象となる主な在留資格は、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類できます。まず、就労に制限のない在留資格として「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」があります。これらの資格を持つ外国人は、日本人と同様にあらゆる業務に従事できます。

次に、特定の範囲内での就労が認められる在留資格があります。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」などがこれに該当し、それぞれの資格で定められた業務範囲内での派遣が可能です。

最後に、本来は就労を目的としない在留資格でも、資格外活動許可を得ることで一定の制限の下で働ける場合があります。「留学」「家族滞在」などがこのケースに当たり、週28時間以内という時間制限があることに注意が必要です。

参考:厚生労働省 在留資格と就労

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派遣で雇用可能な外国人材の種類

財務担当者がバランスシートを虫眼鏡で分析している場面

外国人派遣を検討する際は、どのような在留資格の外国人がどのような業務に従事できるのかを正確に把握することが重要です。在留資格によって就労可能な業務範囲が大きく異なるため、企業のニーズと合致するかどうかを事前に確認しましょう。

参考:厚生労働省 外国人の方を雇い入れる際には、就労が認められるかどうかを確認してください。

就労ビザ保持者の派遣

就労ビザ(就労系在留資格)を持つ外国人は、その資格で定められた範囲内での派遣が可能です。最も一般的な「技術・人文知識・国際業務」では、ITエンジニア、通訳・翻訳、経理・財務、マーケティングなどの業務に従事できます。

「技能」の在留資格では、調理師、建築技能者、貴金属等の加工技能者など、特殊な技能を要する業務が対象となります。これらの資格保持者は専門性が高い人材が多いのが特徴です。

注意すべき点は、在留資格で認められた業務以外には従事できないということです。例えば「技術・人文知識・国際業務」の資格では、単純作業や製造業の工場における現場作業などは認められていません。派遣先での仕事内容が在留資格と適合しているかどうかの確認は必須です。

特定技能外国人の派遣

2019年に創設された特定技能制度により、16の特定産業分野において外国人材の受け入れが可能になりました。特定技能1号の外国人の派遣については、分野によって取り扱いが異なるため注意が必要です。

製造業、建設、農業など一部の分野では派遣が認められていますが、介護分野では派遣による受け入れは原則として認められていません。また、派遣が可能な分野でも、受け入れ機関(派遣先企業)が適切な要件を満たしている必要があります。

特定技能外国人を派遣で受け入れる場合は、支援計画の作成や定期的な面談など、特別な支援体制が求められます。これらの支援業務は国に登録された登録支援機関に依頼することも可能ですが、派遣先企業としても一定の協力が必要になることを理解しておきましょう。

参考:出入国在留管理庁 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

留学生アルバイトの派遣

留学生は本来就労を目的とした在留資格ではありませんが、資格外活動許可を得ることで週28時間以内のアルバイトが可能です。留学生の派遣は、この時間制限を遵守する限り問題ありません。

留学生派遣のメリットは、比較的若く意欲的な人材が多いことです。日本語能力も一定水準以上の人が多く、将来的には社員としての就職を希望するケースも多いため、企業にとっては将来の正社員候補としても期待できます。

ただし、風俗営業等に関連する業務への派遣は資格外活動許可の範囲外となるため禁止されています。また、本業である学業に支障をきたさないよう、労働時間の管理を適切に行うことが重要です。長期休暇中は1日8時間まで労働可能になるなど、時期による制限の変化にも注意しましょう。

参考:出入国在留管理庁 「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について

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外国人派遣雇用のメリット

コストダウンをイメージしたグラフと計算機

外国人派遣を選択することで、企業は様々なメリットを享受できます。特に初めて外国人材を受け入れる企業にとっては、リスクを抑えながら外国人雇用のノウハウを蓄積できる有効な手段といえるでしょう。

コスト面でのメリット

外国人を直接雇用する場合、採用活動から各種手続き、継続的な管理まで相当なコストがかかります。求人広告費、面接にかかる時間と費用、在留資格の申請代行費用など、初期コストだけでも数十万円から数百万円になることも珍しくありません。

派遣を利用することで、これらの初期コストを大幅に削減できます。派遣料金には人材確保や手続き代行の費用が含まれているため、追加的な採用コストは基本的に発生しません。また、社会保険や労働保険の手続きも派遣会社が行うため、管理コストも軽減されます。

さらに、必要な時期に必要な期間だけ人材を確保できるため、無駄な人件費を抑制できる点も大きなメリットです。繁忙期のみの短期雇用や、プロジェクトベースでの人材確保など、柔軟な人員調整が可能になります。

手続き負担の軽減

外国人雇用に関する手続きは複雑で、専門知識がないと適切に対応することが困難です。在留資格の確認方法、就労資格証明書の取得、ハローワークへの必要書類の提出・届出など、多岐にわたる手続きが必要になります。

派遣を活用することで、これらの煩雑な手続きの大部分を派遣会社に任せることができます。在留資格の確認や更新手続きのサポート、各種届出の代行など、専門性の高い業務を経験豊富な派遣会社に委ねられるのは大きな安心材料です

また、法改正への対応も派遣会社が行ってくれるため、企業の担当者が常に最新の情報をキャッチアップする必要がありません。外国人雇用に関する法律は頻繁に改正されるため、この点は特に重要なメリットといえるでしょう。

専門知識の活用

外国人材の採用や管理には、入管法をはじめとする専門的な法律知識が必要です。多くの派遣会社は行政書士や社会保険労務士などの専門家と連携しており、高度な専門知識を活用したサービスを提供しています。

例えば、在留資格の変更や更新が必要になった場合、派遣会社が手続きをサポートしてくれるため、企業側で専門家を探したり、高額な手数料を支払ったりする必要がありません。また、労働条件の設定についても、法令に適合した適切なアドバイスを受けることができます。

さらに、多くの派遣会社は外国人材特有の課題にも精通しています。言語の問題、文化的な違い、生活面でのサポートなど、外国人材が職場で力を発揮するために必要な支援について、豊富な経験に基づいたアドバイスを受けられるのです

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人材派遣 外国人

雇用時の重要な注意点

申請書類の準備をしている従業員

外国人派遣を受け入れる際は、一般的な派遣とは別の特別な注意点があります。法的なリスクを回避し、適切な雇用関係を築くために、以下の点を十分に理解しておきましょう。

在留資格の確認方法

外国人労働者を受け入れる前に、必ず在留カードの確認を行う必要があります。在留カードには在留資格、在留期間、就労制限の有無などの重要な情報が記載されており、これらを正確に確認することが法的義務となっています

在留カードの確認では、まず有効期限が切れていないかをチェックします。「あっ、期限が切れている!」といううっかりミスが不法就労助長罪に該当する可能性もあるため、特に慎重な確認が必要です。また、在留資格欄を確認し、予定している業務がその資格で認められる範囲内かどうかを判断する必要があります。

「就労制限の有無」欄も重要なチェックポイントです。「就労不可」と記載されている場合は、資格外活動許可を得ているかどうかを確認しなければなりません。許可を得ている場合は裏面に許可の内容が記載されているため、そちらも併せて確認することが大切です。より確実な方法として、出入国在留管理庁のサイトで公開されている失効在留カード番号の資料と照合することも有効です。

参考:
出入国在留管理庁 在留カード等読取アプリケーション サポートページ
出入国在留管理庁 在留カード等番号失効情報照会

労働条件の適正性

外国人派遣労働者に対しても、日本人と同じ労働条件を適用する必要があります。最低賃金の遵守はもちろん、労働時間の管理、安全衛生の確保など、労働基準法等の関係法令を適切に遵守することが求められます。

特に注意が必要なのは、在留資格による就労時間の制限です。留学生など資格外活動許可により就労している場合は、週28時間以内という制限があります。この制限は派遣先での労働時間だけでなく、他のアルバイトと合算した総労働時間で判断されるため、本人への確認も必要です。

また、外国人労働者特有の配慮事項もあります。宗教的な慣習への配慮、言語面でのサポート、文化的な違いへの理解など、働きやすい環境づくりに努めることで、より良いパフォーマンスを期待できるでしょう。彼らが日本で安心して働き、生活できる環境を整えることが、結果として企業の力になるわけです。

参考:厚生労働省滋賀労働局 外国人労働者の雇用と人権

派遣会社選定のポイント

適切な派遣会社を選定することは、外国人派遣成功の鍵となります。まず確認すべきは、派遣会社が外国人雇用について十分な知識と豊富な経験・実績を持っているかどうかです。在留資格の確認方法、関係法令の理解、トラブル時の対応能力など、専門性の高さを見極めることが重要です。

派遣会社の許可や登録状況も必ず確認しましょう。労働者派遣事業の許可を正式に取得している会社であることはもちろん、外国人材の紹介や派遣について適切な届出を行っている人材派遣会社であるかどうかも重要なチェックポイントです。

さらに、上記の点に加え、アフターサポートの充実度も選定の重要な要素です。派遣労働者が職場で問題を抱えた際の相談体制、在留資格の更新手続きのサポート、労働条件に関するトラブル対応など、継続的なサポート体制が整っているか、他に独自のサポートがあるかなども確認することで、安心して外国人材を受け入れることができます。

参考:厚生労働省 労働者派遣事業の許可の要件

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人材紹介 外国人

外国人派遣事業の手続きと流れ

雇用契約書

外国人派遣を実際に開始するまでには、いくつかの重要な手続きとプロセスがあります。ここでは、実務担当者が知っておくべき具体的な流れと注意すべきポイントを詳しく解説します。

事前準備と書類確認

外国人派遣の受け入れを開始する前に、まず社内での準備を整える必要があります。受け入れ部署での業務内容の整理、必要なスキルレベルの明確化、職場環境の確認などを行い、外国人材が働きやすい環境を整備しましょう。どのような仕事を担当してもらうかも具体的にしておきます。

書類確認については、派遣会社から提供される外国人労働者の在留カードのコピー、履歴書、スキルシートなどを詳細にチェックします。特に在留資格と業務内容の適合性については入念な確認が必要で、疑問点があれば遠慮なく派遣会社に確認を求めることが大切です。

また、外国人雇用状況の届出についても事前に理解しておく必要があります。外国人労働者を受け入れる際は、雇入れ時と離職時にハローワークへの届出が義務付けられています。派遣の場合は派遣会社が行う場合が多いですが、派遣先企業の責任範囲についても明確にしておきましょう。

契約締結時の注意点

派遣契約を締結する際は、一般的な派遣契約書に加えて、外国人材特有の条項についても十分に確認する必要があります。在留資格に関する確認責任の所在、資格更新時の対応、問題発生時の連絡体制など、外国人雇用に関わる重要事項を明文化しておくことが重要です

契約書には、従事する業務の内容を具体的に記載し、在留資格で認められた範囲内であることを明確にします。また、労働条件についても詳細に記載し、最低賃金以上の適正な賃金が支払われることを確認しましょう。

派遣労働者本人との面談も重要なプロセスです。業務内容の説明、職場のルールの確認、日本語能力のチェックなどを行い、双方にとって納得のいく雇用関係を築くための基盤を作ります。この際、通訳が必要な場合は派遣会社に相談し、適切なサポートを受けることも大切です。

就業開始後の管理

外国人派遣労働者の就業が開始された後も、適切な管理と継続的なサポートが必要です。まず重要なのは、労働時間の適切な管理です。特に在留資格による就労時間制限がある場合は、日々の労働時間を正確に記録し、制限を超えないよう注意深く管理する必要があります。

定期的な面談やコミュニケーションを通じて、職場での問題や困りごとがないかを確認することも大切です。言語の壁や文化的な違いから生じる誤解やトラブルを早期に発見し、適切に対処することで、より良い職場環境を維持できます。

在留期間の更新時期が近づいた際の対応も重要な管理業務の一つです。通常は派遣会社が主体となって手続きを進めますが、派遣先企業としても必要な書類の準備や情報提供に協力する必要があります。更新手続きが遅れることで就労継続に支障をきたすことのないよう、事前に連携を図っておきましょう。また、技能実習生とは異なり、転職の自由度が高い点も念頭に置く必要があります。そのためには、良好な関係構築に努めることが定着の鍵となります。

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外国人雇用、法律

まとめ|外国人派遣雇用成功のカギ

外国人派遣社員との打ち合わせ

外国人派遣は、人手不足の解決と国際化の推進という企業の課題に対する有効な解決策の一つです。適切な知識と準備があれば、多くのメリットを享受しながら優秀な外国人材を確保することができるでしょう。近年では中国やベトナムをはじめ、様々な国の人材が日本の各地域・各業種で活躍し、働いています。

成功のカギは、何よりも法令遵守を徹底することです。在留資格の確認、労働条件の適正化、必要な手続きの履行など、基本的なルールを守ることが全ての前提となります。また、信頼できる派遣会社との連携も欠かせません。豊富な経験と専門知識を持つパートナーを選ぶことで、リスクを最小限に抑え、安心して外国人材の力を最大限に活用できます。

そして最も重要なのは、外国人労働者を同じ職場で働く仲間として受け入れる姿勢です。言語や文化の違いを理解し、適切なサポートを提供することで、外国人材は企業にとって貴重な戦力となるはずです。多様性を活かした職場づくりは、企業の競争力向上にもつながるでしょう。

外国人派遣の活用を検討されている企業の皆様には、まず小規模な受け入れから始めて、徐々にノウハウを蓄積していくことをお勧めします。適切な準備と継続的な改善により、外国人材との協働による新たな可能性を実現できるはずです。

もし外国人材の雇用でお困りのことがありましたら、ぜひお気軽に「人材カフェ」の無料相談をご利用ください。企業様向けに様々な職種の外国人材をご紹介しています。各企業の状況に応じたサービスをご提案します。

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