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「指摘」ではなく「気づき」で指導する

ベトナム人のグエンさんは介護施設で働くことになりました。

グエンさんは穏やかな人で、すぐに他のスタッフや施設の利用者さんと打ち解けることができました。

しかし就労開始から半年たった頃、突然「途中帰国させてほしい」と要請がありました。

理由としては、

「子どもの頃に手術をしたところが痛む。
このままでは体調が心配で、仕事を続けることが難しい」

とのことでした。

しかし弊社の方でよくよく話を聞いてみると、

「ミスをしてしまうのが怖いからもう辞めたい…」と話してくれました。

先輩社員のKさんが業務の指導を主に担当しているのですが、Kさんの「否定」から入る指導方法がグエンさんにとって大きなストレスになっていることがわかりました。

そこで施設長とKさんとの面談の場を設け、Kさんの働きぶりをまず褒めて、

それからグエンさんのことをどのように思っているのかを聞き出しました。

Kさんのグエンさんに対する評価は、グエンさんが考えるよりずっと高く、

「いつも笑顔で頑張ってくれている」
「仕事に対して真面目で信頼できる」

とのことでした。

しかし当のグエンさんはもう仕事を辞めたいというところまで追い詰められています。

何が問題なのでしょうか?

「伝え方」です。

Kさんはもともと口調の強い人で、ハッキリ言いすぎてしまうところがあります。

グエンさんは右も左も分からない状態で懸命に行った仕事を、バッサリ否定されてしまう状況に大きなストレスを抱えていたのです。

その日施設長からKさんには「伝え方」のアドバイスが行われ、

グエンさんにもKさんに伝え方を工夫するよう指導が入った旨と、Kさんが本当はグエンさんをどう思っているかがきちんと伝えられました。

これによってグエンさんの働く意欲は少しずつ復活し、普段の業務の中でもKさんとグエンさんの笑顔が増えていきました。

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さて、Kさんとグエンさんの仲を取り持った「伝え方」のポイントはこうです。

相手の間違いやミスを指摘するときには、

①まず相手の気持ちを受け入れる

②やった仕事を承認する

③質問形式で指摘する【重要!】

④指摘したいところはピンポイントに、明確に

質問形式といっても、

「なんでこんなこともできないの?」など、責めるのは絶対NGですし、

「なんでこうしようと思ったの?」も、つい言ってしまいそうになりますが、

具体的かつピンポイントに質問するのが大切です。

例えば道具の片づけ場所が間違っていた場合は、このように伝えます。

「綺麗に整頓してくれてありがとう。

 ここは通路でもあるから、もしかしたら通りづらくなってしまうかもしれないね。

 他にいい場所知ってる?」

ポイントを押さえて指摘すると、本人は自分の仕事を承認してもらえる上、ミスの原因もわかります。

少なくとも「責められた」とは感じないでしょう。

こちらの考えを一方的に押し付けるだけだと、記憶に定着しないのでまた同じミスが起きます。

しかし上記のような質問形式を使って相手が解決策を自ら気づけるように仕向ければ、それ以降の仕事にも応用できるようになります。

「指摘」より「気づき」を与えられるよう伝え方を工夫してみてくださいね。