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「連鎖退職」が起きる会社・起きない会社のちがいとは

ある建設会社に、入社して間もなくから毎日のように遅刻してくる困った従業員Aさんがいました。

他の従業員たちも最初こそ優しく注意していたものの、徐々に呆れの方が強くなってきてしまい、

1か月も経つ頃にはとうとう誰もAさんに見向きもしなくなりました。

出勤してきても最低限の業務連絡以外は会話すらなくなっていき、Aさんは入社から1か月半後には早々に退職しました。

ここまではたまにある話かもしれませんが、問題はこのあとに起きてしまいました。

Aさんが仕事を辞めた後も社長の怒りは収まらず、他の従業員に何度も愚痴を漏らしたのです。

「採用したのが間違いだった」
「あんな人は初めてだった」
「早く辞めてくれてよかった」

従業員たちにももちろん同じような気持ちがあり、社長の言うことなので同調せざるを得ませんが…

このあと、Aさんが辞めてから3か月の短い間になんと他にも3人の従業員がAさんの後を追うように退職していきました。

一方、別の会社ではよくない辞め方をした従業員がいても、社長はどっしりと構え、

「何か困ったことがあったらトラブルになる前に教えてね」
「人手が減って迷惑をかけてすまないね」

と、辞めた人を悪く言うどころかすべての責任を負う覚悟で他の従業員のケアに当たりました。

このあとすぐに新しく人材募集を開始し、今後は採用ミスマッチが起こらないようにと慎重に面接を進めていき、優秀な人材をゲット。

社内でも社長への信頼は確立されており、みんな誇りを持って仕事に取り組んでいます。

いくら人材定着のために対策をしていても退職者を完全にゼロにすることは不可能です。

採用して1年も経てば誰かしら退職してしまうのは避けられないことですよね。

しかし上記の例のように、退職者が出たときの対応の仕方によって、

・さらなる退職者を生んでしまうか
・残った従業員に会社をもっと好きになってもらえるか

の命運が分かれてしまうのです。

絶対NGなのが、退職した人の悪口を言ってしまうこと。

もちろん恨みごとの一つや二つ言いたくなるような相手もいるかもしれません。

でも、そんなことを言ったところで単なる八つ当たりになってしまいます。

残ってくれている従業員のストレスを助長するだけでいいことは全くありません。

それどころか『私が辞めてもこんなことを言われるのかな』と、残された従業員の不信感を高めるばかりです。

変な辞め方をされたら、内心いい気持ちはしませんが、ここでグッと耐える姿を従業員に見せるのです。

誰もが「社長は文句を言うだろうな…」と思っているときに、あえて平静を装うことで会社に対する信頼度がアップします。

退職者が出てしまったときは、どうしても職場内環境が変わったり人間関係が変わったりして従業員の気持ちも不安定になりやすいときです。

会社の核である社長が堂々とした姿勢を貫いていれば、従業員も安心して仕事に打ち込むことができます。

度量の大きいところを見せるチャンスだと前向きにとらえていきましょう。